旅を仕事にする方法、教えてください!世界を旅する起業家×クリエイティブトラベラー×編集長に聞いてみた。

「旅を仕事に」――旅好きなら誰しも憧れるフレーズではないでしょうか。「旅を仕事にする方法が知りたい」「ロールモデルがほしい」「特別な才能が必要なのかな?」などと考えている人も多いはず。

 
2月14日にTABIPPO渋谷オフィスにて行われた旅大学の講座 「緊急開催!起業家×クリエイティブトラベラー×編集長が語る!20代を旅するように働くための準備学vol.2」では、旅を仕事にしている高原大輔(起業家)さん、石井小百合さん(クリエイティブトラベラー)、そして前田塁(TABIPPO.NET編集長)が、旅と仕事について語り合いました。
 

イベントゲストは?

 TABIPPO創業メンバーでモデレーターを務めた前田がエンジニア留学したテックスクールの代表高原さんと、同時期に留学をしていたクリエイティブトラベラーとして働く石井さんの2人をゲストに迎えました。

左:高原大輔
40カ国訪問後、2013年に、プログラミングスキル、英語力、異文化適応力などのグローバルスキルをもち、世界で活躍できる人材を育てたいという思いから、「LIFE SHIFT PLATFORM(人生が変わる場所)」として、フィリピン・セブ島にNexSeed(ネクシード)を設立。NexSeedは2019年現在、卒業生数は1500名に達す。
 
中:石井 小百合
浅草育ち。20歳まで読者モデルをしていたが、友人に“ヨーロッパを巡るバックパッカーの旅”に誘われ、旅に魅了される。“バイトしては旅に出る”というスタンスをつくり、撮影に呼ばれなくなりモデルの夢を挫折。旅先で見た景色や出来事に感動を受け“同世代の人が旅に出て、気持ちを豊かにして欲しい”と思い、旅の記録を綴ったブログを始める。同時に独学でカメラを学ぶ。現在はフォトグラファーとしてマリオットホテルグループのインスタアカウントを撮影する他、様々な企業からクリエイティブフォトグラファーのオファーを受け活動中。
 
右:TABIPPO前田塁(モデレーター)
慶應義塾大学商学部卒。在学中にニューヨークへ9ヶ月間留学し、世界一周の旅へ出発。帰国後にTABIPPOを立ち上げ。卒業後は大阪ガスを経て、大手WEB広告代理店のオプトに入社。ソーシャルメディア事業部の創立に尽力し、担当事業においてオプトを業界No.1に導く。月間100万人が利用するWebメディア「TABIPPO.NET」の編集長とWebエンジニアを兼務するパラレルキャリアを実現していますが、将来の夢は宇宙飛行士。
 

 

旅を仕事にするってどういうこと?



まずは、3人の「旅×仕事」観をうかがいました。
 


フォトグラファーの石井さんは、「好きを仕事にすること」というシンプルな答え。もともと“旅”と“写真”が好きだった石井さんは、この2つをやり続けることで仕事につながったそう。今の状態にたどり着くまでに10年かかっています。それまではバイトをしつつ、旅と写真に時間を注ぎ込んでいたのだとか。
 

テックスクール(グローバルIT人材育成・エンジニア留学のNexSeed)を経営する高原さんの答えは、「楽しむ」ことが大事。旅を仕事にしたい気持ちって、旅が楽しいからで本質的に「好き=仕事」が理想があるじゃないかなと。ただ仕事のうち好きなことは10%程度だというのが一般的でしょう。でも、好きじゃないことも全部楽しんでしまえばいい。なんでも楽しむ気持ちを持つことが重要だと高原さんはいいます。

 


 
TABIPPO.NET編集長の前田は、「旅中に仕事をする」「旅先で仕事をする」の2つのケースがあると考えているそう。エンジニアが旅をしている場合、仕事と旅は直接結びついているわけではありません。だから「旅中に仕事をする」。ホテルの撮影が仕事になっている石井さんは、「旅先で仕事をする」パターンです。

 
そのうえで、「旅中に仕事をする」「旅先で仕事をする」を実現する状態が理想だといいます。たとえば旅ライターなら、旅先での経験を書けるだけでなく、旅している間に別の記事を書くこともできますよね。
 

 

3人の働き方は旅を仕事にしやすい?しにくい?


 
では、3人の働き方は旅を仕事にしやすいのでしょうか?この答えは全員「しやすい」。

 
ここでは、高原さんと前田に共通点が見られました。それは、「組織ができあがってくるにつれて、旅に出やすくなった」ということ。
 

高原さんは、セブ島に拠点を持ち、1年間のうち5~6割はセブ島にいます。それ以外は日本や台湾などを飛び回り、新しい学校を建てるための調査や交渉を重ねているそう。一つの場所にいると情報量は増えませんが、普段とは別の場所にいればインプットが増えるといいます。



 
創業したころはメンバーがいなかったので、会計から営業、マーケティングまで「千手観音のように」働いたという高原さん。セブ島から出ることはできませんでした。ですが組織ができてくるにつれ、高原さんが海外にいるときはメンバーが動いてくれるように。今や安心してセブ島を離れられるようになりました。

 

その話には、前田も共感。編集長の前田が海外にいる間も、編集部のメンバーがメディアを動かしてくれています。

 

好きなことを仕事にしている人としていない人、何が違う?


 
3人のように「好きを仕事にしている人」もいますが、大多数はそうではありません。その違いはどこにあるのでしょうか。

 
石井さんの答えは、「魂の声に気づいているか」。会社員として1日の流れが固定されている人は、「これって違う」という違和感に気づきにくいと指摘しました。



 
高原さんは、「楽しめているかどうか、好きなことがあるかどうか」。セブ島に移り住んですぐのころは、何かとイライラすることが多かったそう。でもやがて、「今日もハプニングがあるんだろうな」とワクワクできるようになってきたのです。すべてを楽しんでしまえるかどうかは心意気次第だということですよね!

 
前田は、「辞める力」というお答え。ちきりんさんのブログで知って納得した考え方だそうですが、技術や人脈、知名度、世間からの信用がある人は、「嫌なこと」を「嫌だ」と断ることができます。だから技術や人脈、知名度がある人は、好きなことを仕事にしやすいというロジックです。実力がない人は、嫌な仕事であっても生活のためには受けざるを得ないですからね。

 

好きなことを仕事につなげる方法は?


 
次は、どうすれば好きなことを仕事につなげられるのか。旅人に限らず、働く人ならきっと誰しも気になる質問ですよね。

 
石井さんの答えは、「発信し続けること」「今日の場に参加したことも、どんどんシェアして」と石井さん。



 
高原さんは、「まずゴールを決めること」。「好きを仕事にしたい」という人に「いくら稼ぎたい?」と聞いても、答えられない人が多いそう。例えば、一口に「ライターになる」と言っても、10万円稼ぎたいだけのか、1億円をめざすのかによって働き方は変わってきます。「好きを仕事に」を実現する為に、漠然とではなくてもっと明確にイメージして、可能であれば既に実現してる人と会い自分とのギャップを把握し、その距離を詰めていけばいいでしょう。


 
前田は、東京都初の民間人校長を務めた藤原和博さんのメッセージ「好きなことを3つ掛け合わせれば、100万分の1の人材になれる」をシェア。高原さんのテックスクールも、「英語」「プログラミング」「セブ島」の3つを掛け合わせています。

 

旅しながら働くためには、どんなスキルが必要?


 
こちらも気になる質問。学生さんも、ぐっと身を乗り出していました。

 
石井さんは「人間レベル」と回答。分解すると、(1)感謝、(2)モラル、(3)どこででも生きていける野生的な気持ちの3つになります。中でも「感謝」は最重要。メール1通のやり取りでも、その人の人柄がにじみ出ます。「この人と仕事をしたい!」と感じることもあれば、その逆のことも。
 

石井さんは、相手が即レスしてくれたら「早い返信をありがとうございます」と一言添える、必要な情報は聞かれる前に伝えるなど、相手の気持ちになってやり取りすることを心掛けているそうです。具体的なアドバイス、参考になりますね!



 
高原さんは、(1)人からの信頼、(2)英語、(3)プロフェッショナルスキルの3つ。「プロフェッショナルスキルがなければ、ずっと“傘の下”にいることになる」という表現が印象的でした。傘の外に出るには、「売れる」能力が必要とのこと。

 
前田は、(1)ライティングスキル、(2)スピーキングスキル、(3)プロフェッショナルスキルの3つを挙げました。ライティングスキルとスピーキングスキルは、どんな仕事においても必須のもの。加えてプロフェッショナルスキルとしては、プログラミングをすすめます。デザインなどとは異なり、歴史が浅い技術なので、まだまだ競合が少ないことがその理由だそう。
 

 

これから10年、何をする?


 
旅を仕事にする、理想の働き方を実現している3人。この先10年、どんなビジョンを持っているのでしょうか?

 
石井さんは、「誰かのハッピーを増やせるように働く」。まだ具体的なイメージは持っていませんが、この軸は定まっているそう。

 
高原さんは、「多くの人の人生をシフトさせること」。教育においては、何を教えるかより、どんな場を提供できるかが大事だと感じているそう。旅で人生をシフトさせた一人として、同じ志や悩みを持った人が化学反応し、切磋琢磨して、多くの人の人生がシフトするような場づくりを続けていきたいといいます。



 
前田さんは、「宇宙旅行」と答えました。今や誰でも世界一周できるようになったので、その先として、宇宙旅行をイメージしているそう。宇宙旅行には人生を賭ける価値があると胸をふくらませていました。
 

 

いつでもだれでも、人生を変えられる


 
今回の講座は大盛況。当初の定員は30名でしたが、あっという間に埋まってしまい、急遽50名に増枠したほど。平日開催でしたがその熱気はすさまじく、参加者から寄せられた質問の数は、旅大学の最高記録を更新!

 
キラキラした目で話を聞くみなさんの様子が印象的でした。今回の講座が、今後の人生を考えるきっかけになれば幸いです。
 

 

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TABIPPO/旅大学が作っている、旅が好きな人たちが集まる場です。ゲストの方の旅の気づきから、色々な講座を開催してます。講師から何かを学ぶ事もありますし、参加者同士でも気づきをシェアする事もします。


大切にしている事は「コミュニティ」です。一方的に聞いている講義ではなく、皆さんと一緒に作り上げる空間を目指しております。ゲストの距離も近く、お客さん同士の距離も近くなるように設計しております。


初めて参加する方も、8割位なので気軽にお越し下さい。その日だけのイベントではなく、その後も続くコミュニティとなるようにしていこうと思っております。
 

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