恩田倫孝

浅草からドイツへ。渋谷で僕は新しい飛行機のチケットを手にする。

11月に入り肌寒い日が続くようになり、そのつんとした寒さが今年の終わりを僕らに告げる。

両手をポケットに入れ歩きながら、朝の出社時間SondrのSurvivingを聞いて、僕はふと今年の春先の旅を思い出した。

それは、ヨーロッパを1台のバスで50名で周遊するツアーだった。

詳細記事:
53名でヨーロッパを大移動!10日で7ヶ国まわるコンチキツアーは驚きと発見の日々だった

http://tabippo.net/contikitour-europe/

普段、世界一周団体で働きながら「旅するように働き、旅するように生きる」のテーマをどう実現するかを考えているのだが、日本以外にも拠点が欲しいと常々考えている。

10日で7ヶ国という過酷なスケジュールのツアーの中でも、印象に残ったのがドイツだった。町並みの美しさ、ご飯の美味しさ、そして人の優しさ。たった2日間だけの印象なので、このチープな言葉でしか言い表せないのだが、ドイツはいつか拠点として住んでみたいと思えたのだった。

旅を終え、もっと魅力的なドイツについて知りたいなと思っていた所、ドイツ観光局さんと一緒にイベントをやろうと言う話になり、10月の末に京都のユースホステルを貸し切ってイベントが行われたのだ。

ドイツ観光について学ぼう!|旅大学

http://tabi-daigaku.jp/lessons/233

そのイベントも終えてから、3週間近くが経ち、紅葉の季節から冬へと移行している。

僕は寒い手をこすりながら、浅草から電車へと乗り込み渋谷へと向かった。
そして、目を閉じ10月末に行われたイベントの事を振り返った。

 

開催場所は、世界でもっとも居心地のいいユースホステル2011にも選ばれたことのある「宇多野ユースホステル」

ホステルの綺麗さは僕の想像以上で、それは世界中の鳥が疲れた体を癒やしに来たいと思わせる程、居心地のいい場所だった。


秋のいい匂いを感じる時期に、TABIPPO内で一緒に企画をしているドイツが大好きな篠原と、元女優で旅タレントとして活躍する南まいさんと打合せをしていた。

僕「ね~ドイツの魅力って何?ざっくりとした質問なのだけど」
三軒茶屋にある居酒屋で銀杏をつまみながら、僕は聞いた。


篠原「そうね〜。勿論、ドイツと言えば、ソーセージとか、ビールとか、サッカーというイメージがあると思うんだけど、それも地方によって全然違う。北と南で文化も違う。文化と一口で括れない程、雰囲気が違うんだよね。」

南「でも、やっぱりドイツって言ったら、ロマンティック街道じゃない?」

僕「そしたら、幅広く分かるのがいいね。」

篠原「うん、宿泊や移動も入れながら、見てみるのがいいかもしれない」

そして、僕らはドイツ観光局さんと、ユースホステルさん、ユーレイルパスさんと一緒に今回の旅大学を企画する事になった。

僕「あの綺麗なホステルにドイツが好きな人達が100名程集まって、合宿を出来るなんて最高だね」

篠原「ああ。海外には色々行ったけれど、俺はなんと言おうとドイツが好きだから、もっと多くの人がドイツに興味を持って、そして京都の合宿で集まるメンバーの人達と一緒にドイツに行けたら、なんて最高なんだって思うよ。」

ビールをくいっと飲みながら、篠原はどこか遠くを眺めていた。
それから、主催のメンバーで打合せを重ねあっという間に当日を迎える。

 

銀座線が、上野を過ぎた頃に多くの外国人が乗ってきた。2020年にオリンピックが開催されるからか、最近都内で外国人を見る事が多くなったななんて感じながら、僕は車内をキョロキョロとした。 そして、みな各々自由に大きな声で話ながら、電車はまた渋谷の方面へと進み出した。

 

イベント当日、京都は心地良いほどに良く晴れていた。
ゲストの南さんは前日から舞妓さんの格好をしながら京都を満喫していたようで、ご満悦。

イベントの最終調整をして、開場を迎えた。

まだ誰もいない会場に100人が集まると思うと、僕は胸が高まった。


今回のイベントは大きく分けるとこのような感じだった。

▼旅人の視点からのドイツの魅力のトーク
▼ドイツ観光局、ユースホステル、ユーレイルパスからの視点から語る
▼参加者同士でのワークショップ&発表

そして、司会の僕が開始の挨拶を済ませイベントは始まった。

女子旅の視点からの南まいさんのトークから始まり
男子目線のサッカー観戦を始めとした西ドイツの、篠原トーク
夢をかなえる旅の物語を作り上げる、ドイツ観光局
若者の旅を応援する宿泊施設、ユースホステル
ヨーロッパを周遊するのに最適なパス、ユーレイルパス


ロマンティック街道の可愛らしさ感じ
クールな側面のドイツを知り
ユースホステルはドイツが一番多いという事実を知り
鉄道で移動する旅を想像してワクワクして
そして、その観光をイメージ戦略の作り方について話を聞いて、

この各メンバーのトークはあっという間に終わる。

そして、熱気を帯びた会場に束の間の休憩を挟み、今回のメインのワークショップへ移る。

「さて、これから皆さんでチームを組んでワークショップをやります。お題はこちらです」

<もしあなたが旅動画の制作チームだったら、ドイツの何を取材したいですか?インパクトのある企画書を作ってください>

正直、難しい。そして、当日に知り合ったメンバーと共に考え数時間後に提出をする訳だ。

途中美味しいドイツ料理の夕ご飯を食べ、また課題に。

参加者のメンバーが課題を作っている間、ドイツ観光局で働くアンナさんに聞いてみた。

「ドイツって言えば、やはりオクトーバフェストのイメージが強いですね」
「そうね、オクトーバフェストの時は、人は狂ったように来るわね」

「現地の人も行くんですか?」
「半分くらいは、現地の人も行くわね。ただ、私は少し混みすぎていてちょっと疲れちゃうから、ローカルなVolksfesというビアフェストに行くわ。値段もリーズナブルだし。みんながイメージするオクトーバフェストは、観光用だから、もしひっそりとしてもいいのなら、ローカルな場所をオススメするわ。是非、次ドイツに来る時には」

「ありがとう」

会場には、TABIPPO篠原がドイツで撮った映像を流した。

▼日本人から見てドイツ人の男性はどう?現地の日本人に聞いてみた。



▼ドイツならではの風習は?現地の日本人に聞いてみた。

そして、提出時刻21時を迎えた。

館内のwifiの影響もあり、21時前後に続々とファイルが提出され、主催側でチェックを始める。見始めると、物凄い自由な発想が多い。そして、ここでは言えないようなギリギリの内容のものまで出てきた。色々な意見を言い合い、明日に進める5組を決めた。

そして、明日の決勝プレゼンが出来る5組の発表の時間。

時間は、22:30.
みなチームメンバーで集まりながら、くつろいでいる。

そして館内に「ピンポンパンポーン」という放送の合図が流れ、一瞬の静寂が広がる。

「決勝進出は下記5チームです」

チームプリンセス
かにぱっく
チームpotato
たにむー班
ビール&ケバブ

名前が呼ばれる度に、歓声がホステルに響く。

そして、決勝に行くチームはこの時間から朝の4時頃まで起きてブラッシュアップが続いた。
静かな夜だった。


迎える翌朝。
この日もよく晴れていた。

ユースホステルの中庭は、緑色が綺麗でこの決勝プレゼンが終わった後に始まるビアフェストをするのにこれ以上ない程にいい状態にだった。

劇をしながら発表をするチーム
放送禁止のプレゼンをするチーム
日本のテレビ番組をそのまま海外に持っていくチーム
現地の子供に取材をするチーム
祭に特化したチーム

笑いを取りにいったチームから、淡々と真面目に語るチーム。
短い時間で作成して貰ったのだが、非常に素敵なプレゼンだった。

そして、各社から表彰があり、ドイツ観光局賞を取ったのは、
ビール&ケバブのチーム。

こちらのチームのメンバーが書いた記事はこちら。
ドイツ航空券が無料で当たる!?京都でカオスなイベントに参加してきました | べべ旅 〜ひとりぼっちの日本一周編〜

 https://liginc.co.jp/322599

そして、みんな肩の重荷を全て外し、中庭でのビアフェストでドイツの料理やお酒を昼から楽しんだ。

アコーディオン奏者の平野さんがドイツ楽曲を演奏して下さったり、参加者みんなダンスをしたりして、あっという間に終わりを迎えた。



イベントを企画していると良く思うのだが、準備には凄い時間がかかるのに、イベント自体は本当に一瞬で過ぎ去る。
一瞬で過ぎ去ってしまう、その時間を自分の中で反芻しないと勿体無いと思い片付けをしながら、参加者のTwitterをみたりアンケートを見て振り返った。

アンケートはこのように非常に満足度が高かった。

◎イベント全体の満足度:89%
◎トークコンテツの中で一番満足度が高かったのは、ユースホステル協会:93%
◎決勝プレゼン満足度:95%

本当に良かったと胸を撫で下ろし、共催のメンバーに挨拶をして僕は京都から東京へゆっくりと向かった。

 


電車の中で、うとうととしていると
「終点、渋谷〜渋谷〜」のアナウンスとともに目が覚めた。


携帯の画面を見るとドイツへの航空券が表示されていた。寝ぼけながらチケットを探していたのかもしれない。

ドイツ行きは、意外と安い。

参加したメンバーで、今年行きますと言っていた人は何人もいた。
本当に、ドイツで出会えたら凄いと思う。

そして携帯をさらにスクロールするとこんな言葉を発見した。

Heute ist die beste Zeit.
思い立ったが吉日。

僕は、やれやれと思いながら、電車を降りた。

ライター紹介:


1987年生まれ/新潟出身/慶応大卒業後、商社入社。社会人開始と同時に、シェアハウスを始める。2013年8月に世界一周へと出発。アメリカの砂漠での奇才フェス「バーニングマン」を旅のスタートに、900kmにも及ぶスペイン巡礼、ブラジルサルバドールで5週間太鼓の練習をして、カーニバルへ参加。アフリカ大陸では、大陸をバスを使って縦断するオーバーランドツアーに参加。全10回の連載を「ordinary」にて執筆。